お客様から、「猪肉で作ったソーセージが、豚肉ソーセージよりもジューシーで噛み応えがあるのは、なぜ?」とお尋ねを度々受けます。
何か文献がないかと探したところ、ビンゴの論文がありました!
豚肉ソーセージよりもジューシーで噛み応えがあるソーセージになる理由は、 天然猪は筋肉が豚よりも発達しているため筋繊維の構造がしっかり していて、 肉の水分がタンパク質の微細な構造の中に閉じ込められキープされ るから。へぇ~!! 原著論文は、九州大学大学院農学研究院・京都大学大学院農学研究科 による 「イノシシ肉ソーセージの理化学的特性および食味評価」です。
要約としては、福岡県糸島市で捕獲された野生イノシシとブタのソーセージを作成し、理化学的特性の測定と一般消費者を対象に食味試験を行った。
【理化学的特性測定の結果】
肉以外同一の材料と組成で作成した場合、イノシシ肉ソーセージはブタ肉ソーセージに比べ加熱損失が40%と著しく低く、加圧保水性は2倍以上であったため、多汁性に富んだジューシーな食感を維持しやすいと推測された。
【食味試験の結果】
ブタ肉ソーセージとイノシシ肉ソーセージに加え、香辛料を添加したイノシシ肉ソーセージの計3種類を用意し、92名による評価を行った。
食味試験の結果からも「ジューシーさの好み」でイノシシ肉ソーセージは高い評価を受けた。破断応力と剪断力価はイノシシ肉ソーセージの方が高く、ブタ肉ソーセージより固いと考えられたが、消費者はイノシシ肉ソーセージの固さを好んだ。
食味試験の結果「総合的な好み」では,ブタ肉ソーセージを基準として-5点から5点までの評価を調べた結果、通常のイノシシ肉ソーセージで+1.7点,香辛料を添加したイノシシ肉ソーセージで+2.3点となり、イノシシ肉ソーセージはブタ肉ソーセージより好ましいという結果が得られた。
というものです。
論文では、糸島産の猪肉を使用しており獣臭さが指摘されていますが、
平戸いのししは精肉そのものにほとんど臭みがありませんので、その調理品も臭みを感じることはありません。